研究概要 |
近年における脳死肺移植ドナー不足の解決策として、生体移植、心停止後移植、異種移植、植え込み型人工肺などが考えられる。我々は、心停止後の肺グラフトを用いることが可能か否かを検討している。これまでex-vivo non-blood reperfusion modelを用いて、(1)flush height,(2)magnesium,(3)reperfusion flow rate,(4)initial low flow reperfusion,(5)surfactant,(6)low Ht,(7)high PV pressure,(8)NO,(9)PV heparin flushにつき検討した。心停止後肺グラフトを用いる場合には、(1)flush heightを低く、(3)reperfusion flow rateを押さえることが必要であった。(2)magnesium,(5)surfactantの投与は有効であったが、(8)NO投与に際しては、効果発現領域は極めて小さかった。(4)initial low flow reperfusionはグラフト保持に有用であった。(6)再潅流初期にlow Htとし、引き続きnormal Htとする方法は有効であったが、有意差を得るには至らず、Ht値やlow Ht血の潅流時間などに再検討を要するものと思われた。(7)温虚血中のhigh PV pressureは、心停止直後に施行すればグラフト機能維持に有用であったが、心停止後30分では肺静脈内微小血栓によりその効果を発揮しなかった。(9)再潅流直前のPV flushは、有意に再潅流後のグラフト機能を改善し、安価で有効な方法と思われた。以上、様々な手技の組み合わせにより、心停止後肺グラフトの機能温存が可能と思われた。
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