研究概要 |
1)FCMにて分泌期子宮内膜間質および妊娠初期脱落膜間質細胞表面にβ_1インテグリンの発現が認められた。2)免疫沈降した結果、妊娠初期脱落膜はβ_1インテグリンファミリーを生合成することが証明された。3)Northern blot解析した結果、メッセージレベルでの,β_1インテグリンの発現が証明された。4)マウス初期胞胚を脱落膜間質細胞と共培養(BASA)した結果、抗β_1インテグリン抗体は、マウス初期胚のトロホブラストの進展を濃度依存性に抑制した(コントロール,102μm^2;mβ_1Ab2ng/ml,77μm^2;mβ_1Ab20ng/ml;52μm^2,mβ_1Ab200ng/ml,38μm^2)。以上よりβ_1インテグリンは分泌期子宮内膜間質および脱落膜細胞で生合成され、トロホブラストの進展に関与していると考えられた。5)免疫蛍光二重染色した結果、脱落膜培養細胞の接着斑にFAK、β_1インテグリン、タリンが蛍光染色された。6)RT-PCR法を用いてFAKmRNAの発現を調べた結果、脱落膜にFAKのシグナルを認めた。7)BASAの結果、チロシンリン酸化阻害剤であるherbimycin Aは、マウス初期胚のトロホブラストの進展を濃度依存性に抑制した。以上よりFAKは脱落膜細胞の接着斑に存在し、チロシンリン酸化を受けトロホブラストの進展に関与していると考えられた。9)フィブロネクチン(FN)のRGDのbinding-siteであるインテグリンβ_1[140-164]のアミノ酸を合成(DD)し、ヒト妊娠初期脱落膜細胞表面のβ_1インテグリンのbinding-siteの生理的意義を検討した。脱落膜培養細胞のFNへの接着率(%)を求めた結果、DDの添加は、脱落膜培養細胞のFNへの接着を有意に抑制した(Cont:88,DD10μ M:12,AA10μ M:90)。10)BASAの結果、DDの添加はマウスのtrophoblastのoutgrowthした面積(μm^2)を用量反応性に抑制した(非添加:126,AA10μ M:120,DD10μ M:54,DDIμM:68,DD0.1μ M81)。以上より、ヒト妊娠初期脱落膜細胞は、細胞表面上のインテグリンβ_1サブユニットの140-164アミノ酸を介してFNのRGDを認識し、着床現象に関与しているものと考えられた。
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