研究概要 |
H_3受容体は、主に中枢神経系に存在し自己受容体として脳内のヒスタミン神経系からのヒスタミンの遊離を調節している。現在、H_3アンタゴニストは、21世紀の高齢者社会の中で新しい抗痴呆薬としてその開発が期待されている。一方、H_3アゴニストは、不安や片頭痛などへの有効性に加えて、末梢組織においても興味が持たれ新しいタイプの気管支喘息の治療薬の標的となっている。H_3受容体を巡るの創薬研究は、欧米で先行し現在活発に行われているが、残念なことに我が国では、製薬企業、大学を含めた研究機関のいずれもがその研究に着手していない現状にある。 一方、我々はイミダゾールC-ヌクレオシドの合成法を独自の手法で開発し、ヒスタミン受容体リガンドとしての可能性を探ってきた。最近ヒスタミンH_3受容体に焦点を当てC-ヌクレオシド構造に基づいて設計した5位にアミノ基を持つイミダゾールC-ヌクレオシドの4種の異性体をすべてを合成した。それらの薬理作用は、大和谷教授(大阪大・医・保健)によってラットの脳を用いるin vivoブレインマイクロダイアリシス(脳微小透析法)で調べた結果、2R,5R体{Imifuramine,4(5)-[(2R,5R)-5-(Aminomethyl)tetrahydrofuran-2-yl]imidazole}のみに脳内ヒスタミンの遊離を強力に抑制するH_3アゴニスト活性を発見した。マイクロダイアリシスでは、ImifuramineのH_3作用はイメピップに相当するもので、また既存のH_3アンタゴニストであるclobenpropitとも完全に拮抗したことからその作用は脳内のH_3レセプターを介したものであることを支持した。
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