研究概要 |
生涯健康に不可欠である運動は生活化されなければならないが、高齢者の場合、特に体力の低下と労働からの離脱と共に様々な身体活動から遠ざかる傾向にある。そこで,高齢者のスポーツ・運動を促進、定着させるための手がかりを得るため、高齢者の意識調査を実施した。高齢者の健康づくりは地域が担っているため、調査は特定の地域において在住する全高齢者(60歳以上)を対象に実施した。調査内容は、自覚的健康及び体力の状態、身体活動の実践状況、スポーツや健康に関する意識、地域のスポーツ・健康施策に対する意識についてであり、質問項目数は約100項目である。 平成8年度は、茨城県ひたちなか市はしかべ地区において調査し、72名(男子33名、女子39名)から有効な回答を得た。 平成9年度は,沖縄県佐敷町兼久・新里地区において調査し、202名(男子91名、女子111名)から有効な回答を得た。 平成10年度は、兵庫県相生市上町地区において調査し,399(男子187名、女子212名)から有効な回答を得た。 主な結果は,次の通りである。1)全地域において、自覚的健康・体力の状態が「不良」の者は少ない。2)全地域において、身体活動(スポーツ・運動・仕事)を伴う生活をしている者は少なく、この傾向は女子に目立った。3)全地域において、健康のための身体活動に対する意識が消極的な者は少なかった。4)佐敷町においては、地域のスポーツ・健康施策に対する意識が否定的な者が少なかった。5)全高齢者において、健康実態が不良の者、スポーツ・運動を実践していない者、スポーツ・運動に対する意識が低い者に関連性がみられた。
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