研究概要 |
塘路湖,屈斜路湖,支忽湖(北海道),小川原湖(青森県),十和田湖(秋田県,青森県),芦ノ湖(神奈川県),琵琶湖(滋賀県),鰻池(鹿児島県)の沈水植物とシャジクモ類の分布を調べた. シャジクモ類の生育と湖沼水質とには一定の関係が見られるとともに,湖底質の粒径や栄養塩と特に密接な関係が見られた. これまでに十分な調査がされていない小川原湖では、詳細な植生調査と簡易水質計を用いての環境測定を行った. 小川原湖では沈水植物とシャジクモ類で21種の生育が確認された.それらの中にはツツイトモ,イトイバラモ,ヒメバイカモ,カワツルモ,リュウノヒゲモ等の絶滅危惧種が含まれている.小川原湖での植生調査結果を用いて主成分分析をした結果,第1軸は吸光係数や透明度と相関関係があり,水質を表す軸と考えた.エゾヤナギヨやハゴロモモ,クロモは水質悪化に対して耐性があると考えられた. 鰻池ではかつて記録されたヒロハノセンニンモは発現されなかった. 北海道の湖沼ではシャジクモ,ヒメフラスコモ,カタシャジクモが広く分布していた. 十和田湖ではカタシャジクモとヒメフラスコモが生育していた. 琵琶湖ではシャジクモ,オトメフラスコモ,ヒメフラスコモの生育を確認したが,低温の深水域でシャジクモ帯を形成するヒメフラスコモの存続が危ぶまれた.
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