研究分担者 |
岡安 孝弘 宮崎大学, 教育文化学部, 助教授 (40224084)
小林 辰至 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (90244186)
谷本 美彦 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (80041052)
瀬戸 知也 宮崎大学, 教育文化学部, 助教授 (40171350)
新地 辰朗 宮崎大学, 教育文化学部, 助教授 (20284820)
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研究概要 |
本研究では,主として,いじめ防止対策およびいじめ被害者・加害者の心のケアのあり方を考慮する上での基礎資料を得るために,小学生約1400名,中学生約7000名を対象として,いじめ被害・加害経験と心理的ストレスおよび精神的健康との関係を中心に検討した。その結果,小学生では,(a)いじめ被害経験の多いクラスでは,ストレス症状が全般的に高いこと,(b)いじめ被害経験の多いクラスセでは,日常の学校生活において特に「友人関係」や「学業」に関わるストレッサーの経験が多いことが示された。また中学生では(a)いじめへの関わり方は,本研究で用いたいじめ被害・加害経験に関する質問に基ずく限りでは,大別すると5つのグループに類型化でき,仲間はずれや無視,悪口のような間接的攻撃の被害者・加害者は女子に多いこと,また身体的攻撃を含む全般的の被害者・加害者は男子に多いこと,(b)全般的被害者にはストレス症状が高い者が多く,間接的攻撃の被害者も特に抑うつ・不安傾向が高いこと,また両者とも学業に関するストレッサーの経験頻度が高く,それを嫌悪的と感じている者が多いこと,(c)全般的被害者には不機嫌・怒りや無気カのレベルが高い者が多く,さらに先生との関係が良好でない者が多いこと,などが明らかにされた。 さらに,いじめの予防的取り組みの一環として,中学校においていじめ防止プログラム(ピース・バック)を年間にわたって実施した。その結果,生徒だけでなく教師や保護者に対してもいじめ問題に関する意識を啓発することや,それに類するいたずら等の問題が起きた場合の支援体制を確立する上で成果が認められ,実際にいじめを防止する上でも一定の効果があった。 また,高等学校においては,多くの高等学校において近年大きな生徒指導の問題となっている盗難問題の実態調査を行い,それが深刻な問題であることが示された。そのような問題に対してもピース・バックの基本的な考え方は応用して,盗難に対する意識を啓発し,盗難事件が起きたときの支援体制を確立することによって,盗難問題を解決していくことが急務であることが示唆された。
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