研究課題/領域番号 |
09440115
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
谷村 克巳 (谷村 克己) 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00135328)
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研究分担者 |
秋元 郁子 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00314055)
伊藤 千尋 (伊東 千尋) 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60211744)
金崎 順一 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80204535)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
14,000千円 (直接経費: 14,000千円)
1999年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1998年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1997年度: 7,900千円 (直接経費: 7,900千円)
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キーワード | 再構成表面 / 原子放出 / 光誘起構造変化 / STM / フェムト秒レーザー / 細構成表面 |
研究概要 |
本研究では、代表的半導体であるSi、および化合物半導体の典型例としてのInPの清浄表面で発生する光誘起原子過程の機構を、フェムト秒レーザー、ナノ秒波長可変レーザー、および走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いて、構造変化の原子レベルでの直接的知見と励起状態の動力学的知見から明らかにすることを目的とした。以下に本研究によって得られた主要な結果を記す。 1)Si(111)-(7x7)再構成表面で発生する光誘起原子過程の知見を体系的に獲得し、その結果、(1)この再構成表面に固有の表面電子励起状態の非線形局在によって、(2)表面最上層のadatomが、選択的にボンド切断を起こしす事、(3)そのボンド切断機構は、正孔adatomサイトへの2正孔局在によるフォノンキック機構によるものである事を明らかにした。 2)InP(110)-(1x1)表面における光誘起構造変化を研究し、(1)表面電子状態の共鳴遷移励起によって、この表面に固有な擬1次元的P原子列上にvacancy stringsの生成が効果的に発生する事、(2)n型とp型の試料表面では、発生するボンド切断の効率および構造変化の形態が著しく異なる事、(3)構造変化の形状は、著しい励起波長依存性を示し、結晶内電子励起状態の生成によっては、表面に2次元的に広がったvacancy clusterが生じる事が明らかとなった。 3)フェムト秒パルスレーザーによる非共鳴多光子イオン化分光によるInP(110)-(1x1)表面からの原子放出過程を研究し、(1)表面完全サイトでのボンド切断が発生しない弱い励起領域で、表面に存在する付加原子のボンド切断が効率的に発生する事、(2)完全サイトでのボンド切断に対応して、主要な放出種としてP原子が放出される事、(3)完全サイトでのボンド切断とvacancy隣接サイトでのボンド切断では、放出原子に与えられる運動エネルギーが異なる事を明らかにした。 以上の結果は、擬2次元凝縮系としての半導体表面の励起状態物性を解明する上での極めて重要な知見である。
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