研究概要 |
本研究は,ダイオードコンバータの力率を受動素子である非線形リアクトルを電源側に挿入する事によって改善することを目的としている。本年度は,まず3相ダイオードコンバータの力率改善を非線形リアクトルによっておこなう方式で非線形リアクトルの簡単な解析および設計方法を明らかにした。従来の非線形リアクトルは,直交磁心を用いて構成できるが磁束分布が複雑であるので設計が非常に難しい問題があった。そこで,ヨーク部に部分ギャップを持つ非線形リアクトルの設計方法を確立した。この結果,非線形リアクトルの設計と製作が容易になった。製作した非線形リアクトルを用いると90[%]近くまで力率改善をできることが分かった。 次に,力率改善特性を理論的に計算する方法を前年度で明らかにしたが,この方法は近似的方法であり誤差がある。この誤差は,非線形リアクトルの電流が小さい領域のインダクタンスが零でなく電流が大きい領域のイングクタンスが無限大でないことが原因である。そこで,この仮定と異なる場合の理論特性の誤差をコンピュータシミュレーションで明らかにした。この結果,理論特性によるシステム設計における誤差の範囲が明確になりシステム設計の精度が向上した。 さらに,非線形リアクトルを使用しない場合におけるダイオードコンバータの力率等の諸特性を理論的に明らかにして非線形リアクトルを用いた力率改善方式の効果を比較出来るようにした。
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