研究概要 |
牛白血球粘着不全症(BLAD)の病態および骨髄移植について研究を実施し下記の成果を得た。 (1) CD18欠損好中球のFc受容体を介する貧食能、活性酸素生成および細胞内Ca^<2+>シグナリングを検討した。Fc受容体を介する好中球機能はCD18の存在に依存していることを明らかにした。 (2) BLAD牛において,CD18欠損好中球の肺胞気管支領域および体表擦過領域への移出を検討した。CD18欠損好中球の上記部位への血管外遊出を認め,その特徴を明らかにした。 (3) 正常好中球をCD18欠損好中球保有(BLAD)牛へ,輸注し,好中球の化学発光反応を追跡した。末梢血液中の滞留時間は2〜5時間であることを示した。 (4) BLAD牛へ正常骨髄を移植(BMT)し,経時的に臨床,血液,好中球機能およびCD18細胞を検索した。BMT後12カ月でCD18陽性^+が0.3〜0.5%認められた。臨床所見はBMT後28カ月間安定であった。新しく生着し発現したCD18^+細胞が重要な役割を演じているものと考察され,骨髄移植の成功所見を提示し得た。
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