研究概要 |
1: 感染実験:24週齢で50%に心筋梗塞を発症すると報告されている(NZW×BXSB)F_1♀マウスを用い,16週齢の時点でC.pneumoniae KKpn-15株10^5IFU/mouseを点鼻感染した。感染3日目に56%,7日で100%死亡し,そのマウス肺すべてよりC.pneumoniaeを分離し,組織学的にも広範に肺炎像を認めた。よってC.pneumoniaeも宿主条件によっては致死的肺炎を惹起する危険性が示唆された。 2: 反復感染実験:10^4IFU以下では死亡しないことを確認した後,16週齢の(NZW×BXSB)F_1♀マウスにKKpn-15株10^4IFU/mouseを点鼻感染した。さらに感染35,42,49日後に3回反復感染を行い,63日後まで経時的に屠殺,C.pneumoniaeの分離と肺及び心臓の組織学的変化を観察した。(1)C.pneumoniaeの分離:初感染後3,7,14日の肺よりC.pneumoniaeを分離.PCRも陽性であったが21日以後は再感染後もC.pneumoniaeは肺,心ともに分離されなかった。(2)組織学的所見:感染3日後から63日後まですべての時期において急性肺炎から慢性肺炎への移行を示す組織学的所見が得られた。しかし心筋梗塞や冠動脈硬化の所見は認められなかった。(3)蛍光抗体法によるC.pneumoniaeの検出:感染初期の肺組織では陽性所見が得られたが,心筋や冠動脈ではいずれの時期におても陽性所見は得られなかった。(4)酵素抗体法による検討:ABC法により行ったが再感染後の心筋から陽性所見は得られなかった。(5)冠動脈の周径と断面積についての検討:冠動脈内膜の肥厚度を定量的に評価するため二次光画像計測処理システムを用いて感染群及び対照群の心筋標本から,内腔の周径が200μm以上の冠動脈について,それらの周径,断面積および断面積/周径比を算出した。断面積/周径比は感染群16.09,対照群16.52で両群間に有意差を認めなかった。
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