研究概要 |
I. 系統的簡易診断法の開発:遺伝性光線過敏症の系統的簡易診断法を開発するために以下の実験を行った。 (1) 色素性乾皮症A群〜G群(E群を除く)、コケイン症候群A,B群の疾患遺伝子の単離:個々の疾患遺伝子を、今回作成したcDNAライブラリーより、コロニーハイブリダイゼーション法やPCR法により単離した。 (2) サブクローニング:単離した疾患遺伝子を、患者線維芽細胞で発現させるため、真核細胞発現ベクター(pcDNA1,pcDM8,pTarget,pcDNA3,pEBS7)にサブクローニングした。 (3) 分類法の開発:遺伝性光線過敏症のDNA修復マーカー(不定期DNA合成能、RNA合成能の回復、複製DNA合成能の回復)を用いた分類法を確立した。 (4) 確定診断法の開発:上記分類法によって絞られた疾患群に関して、今回作成した疾患遺伝子を含む発現ベクターを、マイクロインジェクション法・トランスフェクション法にて患者線維芽細胞に導入する条件を検討し、確定診断法を確立した。 II. 「UV^s症候群」の原因遺伝子の単離:新規に確立した「UV^s症候群」の疾患遺伝子を単離するために以下の実験を行った。 (1) 不死化細胞株の樹立:患者線維芽細胞にSV40のT抗原をトランスフェクション法にて導入し、独立した2種類の不死化細胞株を樹立した。 (2) 遺伝子解析:不死化細胞株が患者由来であるかを確かめるために、variable number of tandem repeat analysisを行った。この結果、これらの細胞株は患者由来であることを確認した。 (3) cDNAライブラリーの作成:EBウイルスをベースにした真核細胞発現ベクターを用いたcDNAライブラリーを、HeLa細胞から抽出したmRNAを用い構築した。 (4) EBNAを発現した不死化細胞株の樹立:上記ライブラリーを用いるため、不死化細胞株にEBNAをトランスフェクション法を用い導入し、EBNA発現細胞株を分離した。さらに、EBNAの発現をウエスタンブロッテイング・免疫染色法を用い確認した。 (5) スクリーニング:以上の細胞株とcDNAライブラリーを用い、トランスフェクション法によりスクリーニング中である。
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