研究概要 |
ジャストインタイム(JIT)生産方式は,多品種少量生産の状況下において,徹底的なムダの排除によるコスト低減と高流動生産を実現した革新的な生産システムである.その基本は,後工程引き取り,後補充生産方式,すなわち引っ張り方式であり,情報伝達媒体としてかんばんが使用され,各工程がかんばんにより自律分散的に機能する.他方,MRP(資材所要量計画)は,生産すべき製品の基準生産計画に基づき部品展開を行い,発注・生産指示により部品から完成品までを時間単位で管理する方式であり,押し込み方式である.また,OPT(最適化生産技法)は,ボトルネック工程の利用率を最大化し,リードタイム短縮,最適在庫水準の維持等の目標を達成する最適スケジューリングを導くことを目標としており,MRP同様,押し込み方式である.しかし,今日の激変する状況下において,押し込み方式による生産システムでは急変する環境に適応できず,次世代生産・物流システムとしては,各工程が自律分散的に機能する自律分散型生産・物流システムが有力となる. 本研究では,JIT,MRP,OPT等の現在実際に稼働している生産方式の代表的実践例への実地調査を行い,各実用生産方式の特徴と実態を明らかにした.つぎに,計算機・情報通信技術,生産技術の今後の技術革新と地球環境・資源・エネルギー問題に関するいくつかのシナリオのもとで,JIT,MRP,OPTの種々の発展形とともに,自律分散型生産・物流システムをはじめとする様々な未来型生産・物流システムの実現可能性を明らかにし,実現可能性の高いいくつかの次世代生産・物流システムの構築を行った.さらに,それらの性能評価・経済性分析を導入済みの生産システム・シミュレータROPSIIを駆使して明らかにした.これにより,人に優しく,環境適応と国際競争力に勝れた次世代生産・物流システムの基本形を明らかにした.
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