研究概要 |
1. 平成9年度に集中的に解析を行ったバルク状態の水の動的構造について、単純流体の特性と比較・検討し、単純流体のクラスタが成長する過程で分子の結合性が温度依存性を持つのに対して、水の水素結合ネットワークは温度に依らず単一の結合性をもつことなどを明らかにした。(日本機械学会論文集B編に掲載) 2. 流体の動的構造と熱伝導特性(マクロには熱伝導率)との関係を明らかにする研究の第一段階として、水分子間のエネルギー伝搬特性を分子動力学シミュレーションにより調べ、これがマクロな熱伝導率をどのように支配しているかをモデル計算で解析した。この結果、水中の熱伝導は主に水分子の回転運動エネルギーの伝搬によること、水素結合の寄与はあまり大きくないことなどが明らかとなった。(Eurotherm Seminar on Microscale Heat Transfer,Poitiers,Franceにて発表。Thermal Science and Engineeringに掲載) 3. 上記の水分子間エネルギー伝搬モデルの検証として、単純流体の分子間エネルギー伝搬特性を分子動力学シミュレーションにより解析した。(Thermal Science and Engineeringに掲載) 4. イオン近傍の水分子がつくる構造(水和構造)の動的挙動に関して分子動力学シミュレーションを行い、水の水素結合ネットワークがイオンの存在により歪む様子や、水和構造の寿命などを解析した。また、イオンと水分子の間のエネルギー伝搬特性を明らかにした。(日本機械学会・アメリカ機械学会熱工学合同会議にて発表予定(1999年3月))
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