研究課題/領域番号 |
09750887
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
工業分析化学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
片山 佳樹 九州大学, 工学部, 助教授 (70284528)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1998年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1997年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | NO / 一酸化窒素 / 蛍光プローブ / 探索分子 / 蛍光試薬 / 生体内一酸化窒素 / 生体メッセンジャー / 細胞情報伝達 |
研究概要 |
本研究では、生体内一酸化窒素(NO)の検出、画像化のための新しい蛍光プローブの開発を進めた。 NOを直接捕捉しうる蛍光プローブを設計するに当たって、細胞内でNOを直接捕捉して活性化するクアニル酸シクラーゼの活性中心をモデルとした全く新しいタイプの分子を考案した。すなわち、環状配位子としてサイクラムを用い、これに蛍光性の軸性配位子を導入した蛍光性配位子を種々設計、合成した。これらを種々の遷移金属の錯体とした後、NOに対する応答を検討した。その結果、側鎖としてキノリン環を有する化合物が、NOと直接反応して蛍光が変化することを見出した。この変化は、NOの最終代謝物である亜硝酸イオンでは起こらず、また、その変化のタイムコースは、NO放出剤からのNO発生タイムコースと完全に一致した。次に、その他のNO関連物質との反応を検討したところ、S-ニトロソチオールでは、蛍光が急激に変化し、その後一定となった。これは、ニトロソチオールが鉄により触媒的に分解し、発生したNOを捕捉したものと考えられた。細胞毒性を有するとされるNO派生物である過酸化亜硝酸では、プローブの蛍光は減少したが、NOと過酸化亜硝酸を同時放出するSIN-1と、過酸化亜硝酸の消去剤であるエブセレン、スーパーオキシドの消去剤であるSODを併用した検討から、本プローブはNOにより選択性が高いことが分かった。本プローブは、リポソームなどに封入することによって、さらにニトロソチオールや過酸化亜硝酸に対する選択性を向上させると、iNOSからのNOを計測できる可能性があることが示唆された。また、NOによる蛍光変化機構の検討から、分子内に2つの蛍光性側鎖を有するプローブが更に有効であると考えられ、今後、これを検討していく。
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