研究概要 |
平成9年度の研究に引き続き、筋炎患者70症例(多発性筋炎32例、皮膚筋炎17例、その他全身性エリテマトーデス・強皮症・混合性結合組織病合併20例)を対象にPCR-RFLP法によりIILA class II アリルを決定した。各自己抗体の陽性率や間質性肺病変の有無などは昨年の報告同様であった。悪性疾患合併は筋炎の出現1年前後に限ったところ9例に認められた。各々のグループを健常コントロール(62例)と比較した。 筋炎全体で、IILA class II アリルの各々の頻度には差が見られなかった。 PMでDRBl*0405(p<0.02)の頻度の低下がみられた。 DMでDRBl*1302(p<0,05)とDQAl*0102(p<0.04)とDQBl*0604(p<0.05)の頻度の増加を認めた。ハプロタイプでの頻度(41.2%)もコントロール(17.7%)にくらべ上昇していた(p<0.05)。 overlap群では、DRBl*1302(p<0.05)の低下を認めた。 筋炎全体で間質性肺病変(IP)を合併していない患者群でDRBl*0405-DQAl*03-DQBl*0401の各々のアリルとハプロタイプの頻度の低下を認めた。 PMではIP合併する患者(13/32例)でDQBl*0401(53.8%)とコントロール(17.7%)に比べ,増加(p<0.05)し、DRBl*0405-DQA*03-DQBl*0401ハプロタイプ(53.8%)もコントロール(17.7%)に比べ増加していた(p<0.02)。一方、IPを合併しない患者(19/32例)ではこのハプロタイプは5.3%と低く、PMのIP合併にこのハプロタイプが関与している可能性がある。 DMではIPの有無とIILA class II alleleの頻度に差異は認めなかった。 Jo-1抗体陽性例(8例)では間質性肺炎は全例合併で、DRBl*0101(0.02)の頻度の上昇を認めた。ハプロタイプから比べると、DRBl*0101-DQAl*0101-DQBl*0501(50%)はコントロールの11.3%より増加(p<0.02)していた。そのほかDRBl*0405-DQA1*03-DQB1*0401も50%で有していたが、コントロールの17.7%より増加しているとは(p<0.06)いえなかった。どちらのハプロタイプも有しなかったものは1例であった。 DM-PMのIP合併の有無・Jo-1抗体陽性筋炎にHLA class IIの関与が示唆された。単独のアリルのみならず、ハプロタイプでの関与も示唆され、HLA class Iとの関連も否定できない。
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