多発性筋炎(PM)、皮膚筋炎(DM)は自己免疫疾患と考えられているにもかかわらず、発症を規定している遺伝子は依然として不明である。 今回、実験例をPM、DM他の自己免疫疾患との重複群の3型に分類し、病型間でのHLAクラスIIアリルと臨床病態との関連について検討する予定である。 対象予定症例は、PM25例、DM14例、重複群は16例(強皮症合併8例、全身性エリテマトーデスあるいは混合性結合組織病合併が8例)計55例で、発症年齢は17才から80才である。 各々のグループの自己抗体の陽性率は、抗核抗体でPM40%、DM36%、重複群100%、抗Jo1抗体はPM28%、DM7%、重複群0%、抗SS-A抗体はPM37%、DM10%、重複群44%、抗RNP抗体はPM4%、DM0%、重複群50%、リウマトイド因子はPM52%、DM43%、重複群12%であり、DMよりもPMに高率に陽性であった。 レントゲン写真上間質性肺病変(IP)は、DMの86%に対し、PMの44%、重複群の8%とDMに高率に認められている。一方、PMのIPの有無を自己抗体の有無から見てみると、抗核抗体陽性はIP(+)64%、IP(-)29%、抗SS-A抗体はIP(+)45%、IP(-)14%、リウマトイド因子はIP(+)82%、IP(-)29%、抗Jo-1抗体はIP(+)64%、IP(-)0%と自己抗体を有する症例で多く認められていた。IPが治療抵抗性で急速に進行し、死亡に至った症例は4例であった。 フォローアップ期間を通じて悪性疾患が合併した症例は11例(胃癌3例、乳癌2例、悪性リンパ腫2例、大腸癌・卵巣癌・子宮頸癌・前立腺癌が各例)で、PM6例、DM1例、重複群4例(内3例は強皮症合併)に認められた。 上記の症例を対象として、現在HLAクラスIIアリルを決定するためにDNAを末梢血液より、採取中である。
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