研究概要 |
本研究は、コロニー刺激因子等の白血球減少治療薬による骨髄回復予測診断法としてのMRIの有用性やその定量化の可能性を検討する目的で行った基礎研究である. 動物実験(癌放射線療法);Wister系ラットに、放射線照射はMBR-1505R(日立製)で単回3Gy左下半身照射し骨髄障害モデルを作成した.白血球減少治療薬としてromurtide(ノピア;第一製薬製)を投与したが,照射骨髄には,非投与群と比べて変化を認めなかった.非照射骨髄においては平均T1値、T2値は延長が認められた.しかしながら、その初期において各画像のみから、その変化を観察するのは容易ではなかった. 臨床研究;症例の選択条件として以下の条件((1)明かな骨髄転移を認めない.(2)治療前白血数が4000/mm以上.(3)心肺機能、肝腎機能が癌放射線療法に耐えられる.(4)以前に癌化学療法または放射線療法を受けていない.(5)Informed consentが得られる.)をみたす症例で行うことを目標としたため,Entry症例は、現在15例と少なく十分な統計解析が施行できていないが。動物実験のような、非照射骨髄の平均T1値、T2値の延長は全症例では観察できなかった.しかしながら、放射線療法や癌化学療法と白血球減少治療薬投与を繰り返すと赤色骨髄と黄色骨随の分布が変化する症例が多く認められた. 動物実験では骨髄回復予測診断法としてMRIが利用できる可能性があると思われるが、臨床応用での有用性は,ある程度の予測は可能であると思われるが、現在のところ十分見極められていない.今後も症例の蓄積を続ける予定である.
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