研究課題/領域番号 |
09F09243
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
無機化学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
成田 吉徳 九州大学, 先導物質化学研究所, 主幹教授
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研究分担者 |
MAITY A.C. 九州大学, 先導物質化学研究所, 外国人特別研究員
MAITY Annada C. 九州大学, 先導物質化学研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2009 – 2011
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2011年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2010年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2009年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
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キーワード | 酸素還元 / 錯体触媒 / プロトン共役電子移動 / 鉄ポルフィリン / 燃料電池 / 酸素極触媒 / 酸素活性化反応 / プロトンメディエーター / 酸素還元反応 / 電極 |
研究概要 |
酸素分子の4電子還元による水への変換は、化学エネルギーの物理エネルギー(特に、電力)への変換を行う基本反応であり、燃料電池陰極(酸素還元)極触媒反応として重要である。本反応は多電子反応の典型例の一つであり、多様な反応が非選択的に起こる結果、いわゆる酸素活性種(O2-・,H2O2,・OH)などが副生するため、起電力の低下、固体電解質膜の劣化などを引き起こす。現在の実用燃料電池では便宜的に白金微粒子を触媒として用いているが、白金表面上では酸素の選択的還元はできないため酸素還元開始電位は約1V(vs.RHE)程度に留まり(過電圧>約0.2V)、実用的な負荷状態での電位はさらに大きく低下して0.7Vとなり、酸素還元の際に生じる自由エネルギーの約40%は熱となる。また、過酸化水素等の酸素活性種の発生が起こるため高価なフッ素系高分子を基軸とする電解質材料を必要としている。一方、生物体内では末端酸化酵素として知られているチトクロムc酸化酵素(CcO)等が高いエネルギー効率で化学エネルギーの変換を行っている。この酵素モデルにおいてはプロトン共役電子移動(PCET)が酸素還元に重要であり、鉄イオンに配位した酸素(スーパーオキソ錯体)を一電子還元する際の活性化エネルギーを極小化することと結論付けられた。そこでこれら知見を元に新たにPCETを可能とする様にプロトン・メディエーターとなるカルボキシル基を酸素代謝部位に修飾した鉄ポルフィリン錯体を合成し、その酸素還元機構を各種分光法(低温紫外可視、共鳴ラマン、ESR等)を用いて詳細に解明し、電気化学的評価を行った。プロトンメディエーターが存在すると鉄錯体およびその酸素付加体の還元電位は約60~100mV正にシフトし、PCETが鉄錯体及びその酸素付加体の還元電位を大きく低下していることの定量的評価に成功した。次に、この分子触媒をカーボンブラック表面に固定し、電極上に固定することにより高い4電子還元効率(n=3.98)での酸素還元を達成し、白金触媒を大きく凌駕する結果を得た。
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