研究分担者 |
角替 敏昭 島根大学, 教育学部, 講師 (50252888)
佐野 栄 愛媛大学, 教育学部, 助教授 (10226037)
兵藤 博信 岡山理科大学, 自然科学研究所, 講師 (50218749)
リーチ エバン シドニー工科大学, 教授
オフラー ロビン ニューカッスル大学, 准教授
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研究概要 |
オーストラリアは東ゴンドワナの東に位置し,古大西洋に面している.ここに形成された最初の島弧一海溝系の研究,言い換えれば,太平洋の最初のsubduction zoneの形成が本研究の課題であった.Daliziel(1992)のロディニア復元図ではオーストラリアに接していたのは北米の北西部とシベリアである.しかし,オーストラリアに接していた地塊に関する見解はあまりにも分散しすぎている.これまでの研究者の主張する古地理図に振り回されていては,ゴンドワナ東縁の成立史を追及する地帯を見失いかねない.そこで,取り敢えず,古生代前期の島弧-海溝系が知られているシベリア縁辺部とオーストラリアのそれとの比較研究を開始した.その結果,岩石化学と地帯構造論の比較研究から,800Maから600Maにかけてシベリアからオーストラリアヘmantle plumeの活動の関係した火成活動による大陸分裂が進行したと考えられることが明らかとなった. また,570-590MaにはTasman Lineの東縁で分裂が起きていること,そこには,Continental LithosphereとOceanic Litjosphereから由来したmagma形成がMt.Arrowsmith地域でみられ,その東方にはsubduction zoneが発達していたと考えられることが明らかとなってきた.このtectonic settingは現在のフィリッピン海モデルに近いものであろう.このsubduction zoneはoneanic islamd arcをともなったであろうが,その構成要素はニューイングランド褶曲帯では蛇紋岩メランジ中に散在しているに過ぎない.しかし,そこからは530Maの島弧地殻下部物質(火成活動によって溶け残った物質由来のamphibolite)が存在するらしいことがわかってきた.これは530Maへかけて島弧が進化した結果ではないかと思われる.そして,前期古生代には幾重かの島弧が発達し,原フィリッピン海とでもいうべき構造が造られた.
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