研究分担者 |
藤井 浩 山形大学, 分子科学研究所, 助教授 (80228957)
佐藤 道比古 山形大学, 医学部, 助教授 (00135344)
張 旭紅 山形大学, 医学部, 助手 (10292442)
右田 たい子 山口大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (90159161)
OLSOH John S Rice University, ライス大学, 教授
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研究概要 |
1.ヘムオキシゲナーゼ(HO)-2の近位リガンドの同定の為,His45残基をAlaに置換した変異酵素を作成した.この酵素はヘム分解活性を全く持たず,更にNOが結合した還元型ヘム・HO複合体は五配位であった.故に,His45が近位His残基であることが確定した.2.ヘム・HO複合体の酸素とCOへの親和性を検討した.一般にCOは酸素に較べてより高い親和性を持っているが,ヘム・HO複合体の場合には酸素の親和性が非常に高かった.本反応で生成されるCOによる阻害が何故起らないか,その理由が明らかになった.3.酸素化型コバルトヘム・HO複合体のEPR測定実験から,酸素分子はヘムポケットのH供給体と水素結合を作り安定化されていることが更に明白になった.4.ヘミンからαヒドロキシヘミンヘの反応では活性化された酸素の分子種はFe-OOHと推測されてきた.それを証明するために酸素化型HO複合体を作り,それに低温(77k)でγ線を照射して還元したところ,Fe-OOHのシグナルが現れ,次いでヒドロキシヘミンに転換した.これはFe-OOHが活性化酸素の実体である決定的な証拠である.5.ヒドロキシヘミンからベルドヘムヘの段階では酸素分子の他に一当量の電子が不可欠という報告を1996年にしている.然し,その後電子は不要という異論も出た.それゆえ,あらためて詳細に検討した.酸素だけではヒドロキシヘムはそのポルフィリン環が酸化されたラジカルになるだけであり,ベルドヘムの転換にはやはり電子が必須であった.6.Corynebacterium diphtheriaeのヘム分解酵素であるHmuOの大腸菌での発現系と精製法を確立した.HmuOは単純蛋白質であるが基質であるヘムを1対1で結合して出来た複合体は単純蛋白質の性質を持っていた.ヘムは基質であると共に酸素活性化の役割も持ち,ヘム自身は自触的反応により,αヒドロキシヘミン,ベルドヘム,ビリベルジン・鉄錯塩を経てピリベルジン迄分解された.HmuOは基本的には動物系のHOと似ているが,細部では異なる点も観察され,この点の解明が今後の課題である.
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