研究課題/領域番号 |
10410091
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
西洋史
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
前田 徹 早稲田大学, 文学部, 教授 (80116665)
|
研究分担者 |
大内 宏一 早稲田大学, 文学部, 教授 (30063788)
小倉 欣一 早稲田大学, 文学部, 教授 (10058050)
野口 洋二 早稲田大学, 文学部, 教授 (40063549)
井内 敏夫 早稲田大学, 文学部, 教授 (60120903)
村井 誠人 早稲田大学, 文学部, 教授 (60130879)
安斎 和雄 早稲田大学, 文学部, 教授 (80063395)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 2001
|
研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
|
配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
2001年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2000年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1999年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
|
キーワード | ヨーロッパ / 民族統合 / 国家統合 / 国民統合 / 分化 / 統合 |
研究概要 |
本課題の研究目的は、現在進行形で推移するヨーロッパの変容を通時的に理解するために、分化と統合という相反する複雑な諸力がいかに作動してきたかを歴史的に再検討するものである。10名の研究分担者が対象としたのは、時代は古代オリエントから現代まで、地域は西欧をはじめ東欧、北欧、アメリカという空間的にも時間的にも広い範囲である。研究成果報告書は印刷される予定であるので、詳細はそれに譲り、研究成果の一側面を示す。 古典古代にはじまるヒューマニズムの理念、ローマ教会に体現される普遍的教会の理念とローマ帝国理念、さらには、人間理性の覚醒と「文芸共和国」という国境を越えた文化共同体、それらは、普遍的価値に裏打ちされたヨーロッパを求める動きととれる。宗教改革も、近代の国民国家の創成も、ヨーロッパを普遍的なものに基盤を置きたいという動きであって、統合の場を破壊する動きではないと見做しうる。また国民国家・民族国家形成以後の近代・現代の動向、一見分化の動きに見えるものが、より高度な統一の原理を求めるもしくは補強する意図に起因し、そのなかでのヘゲモニー争いと見做しうる事象といえる。 そこで醸成されたヨーロッパの優位性の意識は、たとえば、イスラム世界と対時したときどのような態度なり、反応になるのであろうか。また、アメリカでは、黒人やアジア系など歴史的に異なった人々との複合的な価値観を共有できる国家へと変貌することが統合に不可欠であろうが、その道は厳しいものとなっている。 ヨーロッパは、過去に築かれた伝統的な価値観や政治・社会の遺産の上に成り立っており、その歴史性を脱却してはいないであろう。しかし、歴史は変容を迫るものであり、その新しい事態を見極めることは至難である。そうであっても、この研究で示したような通時的な問題整理、すなわち歴史的考察が不可欠であることは間違いない。
|