配分額 *注記 |
12,400千円 (直接経費: 12,400千円)
2000年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1999年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1998年度: 10,100千円 (直接経費: 10,100千円)
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研究概要 |
てんかん発作は、焦点性発作(部分発作)と全般性発作に大別され、各々の発作発現機構は異なると考えられている。焦点性発作の発現機序には、興奮性および抑制性神経系のバランス異常が重要な役割を果たしている。グルタミン酸トランスポーターは、哺乳類中枢神経系において主要な興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸を細胞外から取り除き、興奮性および抑制性神経系のバランス維持に重要な役割を果たしている。本研究では、脳に存在する4種類のグルタミン酸トランスポーター(GLT1,GLAST,EAAC1,EAAT4)欠損マウスを用い、各サブタイプのてんかん発作発生における役割を解析した。GLT1欠損マウスは、致死性の自発てんかん発作により、12週齢までに約80%が死亡してしまう。てんかんの発作パターンはNMDAを皮下注した時に観察される発作と類似しており、突然ケージの中を走り回り反弓緊張様姿勢をとり、パタッと死んでしまう。GLAST欠損マウスは、GLT1欠損マウスと違い、自発てんかん発作は認められなかった。しかし、GLAST欠損マウスに焦点性発作の二次性全般化発作の実験モデルである扁桃核キンドリングを適応し解析した結果、GLASTがてんかん焦点の形成には関与していないが、発作の二次性全般化には重要であることがわかった。さらに、GLAST欠損マウスではPTZ誘発性てんかんに対する感受性が亢進しており、GLASTの機能異常は、自発性てんかん発作を起こすことはないが、一次性および二次性の全般性発作に対する感受性を亢進させることが明らかになった。EAAC1,EAAT4欠損マウスでは、自発性てんかん発作・PTZ誘発性てんかんに対する感受性の亢進は、認められなかった。以上の解析から、グリア細胞に存在するGLT1,GLASTがてんかん発作の発現、部分発作の二次性全般化に重要な役割を果たしていることがわかった。
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