研究分担者 |
柴田 隆行 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10235575)
村上 光平 三菱電機株式会社, 生産技術センター, 主任
三好 隆志 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00002048)
高橋 哲 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30283724)
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研究概要 |
本研究は,レーザトラッピング技術によって捕捉・回転制御できる,マイクロメートルオーダの微小加工ツール,すなわち光放射圧マイクロ加工ツールの試作・開発を行うことを目的としており,その主要な成果は以下のように要約される. 1.レーザ光放射圧にによる捕捉・回転に基づく駆動原理を適用して,数100μm程度の大きさを持つマイクロパーツの加工を10〜100nmの加工精度で実現することをめざした,光放射圧マイクロ加工ツールの基本構想を提案した.なお,光放射圧マイクロ加工ツールの大きさは10〜20μmであり,光放射圧の作用を最適化する光放射圧制御フィンと加工物に接触する工具部分に相当する加工グレインから構成される. 2.集束レーザー光のもつ光放射圧による力でマイクロメートルオーダの微粒子を捕捉・制御するための実験装置を作製し,この装置を用いて本手法による加工の可能性について,不定形ダイヤモンド砥粒を用いてシリコンウエハ表面に対する加工実験を行い,本手法によりシリコンウエハ上にナノメートルオーダでの除去加工が可能である事を示した. 3.円偏光したレーザーを入射したときに発生する回転トルクを用いて不定形ダイヤモンド粒子やシリカ粒子を回転させることができた.そのことを利用して,楕円偏光の楕円率を変化させて粒子の回転数を変化させることに成功した. 4.独自に構築した光放射圧マイクロ加工ツール運動解析シミュレータを用い,光放射圧マイクロ加工ツールについて,実際の加工運動を考慮した運動解析を行った.その結果,大気中では3800rpm以上の高速な回転運動を与えることができる可能性があることを明らかにし,本研究で提案する光放射圧マイクロ加工ツールが高効率な光放射圧駆動と高精度な駆動制御を可能とするものであることを示した. 5.フォトリソグラフィを中心とするパターンニングとダイヤモンド多結晶膜の気相成長プロセスに基づく,光放射圧マイクロ加工ツールの製作工程を確立した.また,基本仕様および計算機シミュレーション解析結果に基づき,最大径60μmと120μmの2種類の大きさの光放射圧マイクロ加工ツールを試作し,本プロセスによって高い加工精度が得られていることを示した.
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