研究概要 |
本研究で開発しようとする高流動コンクリートは,単に自己充填性を有するだけでなく,耐久性に優れ,乾燥収縮が小さく,温度ひびわれを防止することの可能な低発熱性を有するハイパフォーマンスコンクリートである。本研究のように,混和材料の吸熱反応によって低発熱性を確保する方法は内外ともに最初の試みであり,きわめて独創的である。その成果は,ダムの内部コンクリートや長大橋の橋脚基礎などのマスコンクリートの合理化施工に貢献するところきわめて大きいと考えられる。 本研究では,さらに,混和剤として用いたユリアをコンクリートの凝結時間調整剤として利用する方法ならびに産業廃棄物である銅スラグをコンクリート用細骨材として有効利用する際の補助剤としての利用方法を提案した。 マスコン(ダムコンクリート)への適用性を検討するために行った試験では, (1)同一コンシステンシーを得るために要する単位水量は,尿素を混入させることで低減できる。 (2)コンクリートの練り上がり温度は,尿素混入率が40%の場合で約2℃低減できる。また,最高温度で約5℃低減できる。 (3)所用の空気量を満足するAE剤量は,尿素混入率に比例し増加する。 (4)強度発現性は,尿素混入率に比例し遅くなる。しかし,材齢28日においては,尿素の混入率に関係なく,強度は一定となる。 (5)スランプの経時変化は,尿素の混入率の違いによって有意な差は認められない。 こと等を明らかとした。
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