研究課題/領域番号 |
10610519
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
言語学・音声学
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研究機関 | 東京国際大学 |
研究代表者 |
岡本 能里子 東京国際大学, 国際関係学部, 助教授 (20275811)
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研究分担者 |
彭 国躍 神奈川大学, 外国語学部, 助教授 (00298374)
井出 祥子 日本女子大学, 文学部, 教授 (60060662)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2000年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1998年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 言語運用モデル / ポライトネス / face / 面子 / 謝罪 / 言語行動規範 / 『礼記』 / 『聖書』 / 普遍的言語運用モデル / 社会文化的価値観 / ポライトネス理論 / 『社記』 / 言語行為理論 / 詫び / 東南アジア言語文化圏 / ミクロカクロ統合 / 指標的意味 / 関係性 / 自己のアンデンティティー / 待遇行動 / 価値づけ / 視点移動 |
研究概要 |
本研究は,これまで普遍的とされてきた欧米主導の言語運用理論に対して、日本語、中国語から修正を加え,新たな「普遍的」言語運用モデル構築のための基礎資料の作成と理論的考察を行うことを目的とした。その結果以下の点が明らかになった。 1 Brown & Levinsonのポライトネス理論における"face"は、個人的な欲求を尊重した概念であるのに対して,中国語と日本語の「面子」は、社会的共同体の規範・慣習に従うことが前提とされていた。更に、日本語では、相手や場面との関係をわきまえた行動が要求される点がわかった。 2 マクロレベルの言語運用原則を探るため、古代中国社会の行動規範を示す『礼記』と、西欧のキリスト教文化の行動規範となる『聖書』のことばによる記述を考察した。『礼記』では、発話者の社会的属性や場面を捨象した欧米主導の一般語用論原則とは対照的に、言語禁則の具体的な行動指針が多く、これらが「陰陽秩序の原則」などの古代中国における礼の原理によって機能することが明らかになった。『聖書』では、中国語のように具体的な言語行動として整理することが難しいことがわかり、ことばについて書かれている部分を「神のことば」と「人のことば」とに分けてまとめた。 3 質問紙調査によって「謝罪」という同一言語行為における3言語社会の言語規範意識の違いを考察した。その結果、中国語では、謝罪行為をしない率が最も高く、家族に対してはほとんど謝罪をしないことがわかった。英語では、相手や場面による言語形式の使い分けがほとんどなかった。中国語と日本語では、相手による使い分けが認められ、日本語が最も顕著な使い分けを行っていた。 以上、欧米主導型の言語運用理論再構築の必要性とそれを提示する方法論の可能性の一端を示した。包括的な「普遍的」言語運用モデルの構築にむけて更に言語実態調査も加えた継続研究行う予定である。
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