研究概要 |
流下液膜による気ほうの随伴現象によって生じる伝熱管の破損防止目的として,管内壁面を流下する液膜流量および流下開始から突入液面までの距離をパラメータとして,液膜の突入液面から下流に形成される気体エントレインメント群の長さおよび気体エントレインメントの巻き込み量を測定し,その特性を詳細に調査した.また,これらの量に密接に関係すると考えられる流下液膜ホールドアップの流動軸方向における分布を定電流法を用いて測定し,気体エントレインメント群の長さおよび気体エントレインメントの巻き込み量との関係を詳細に検討した. 本研究によって明らかになった諸点を要約すれば,次のとおりである. 1.液膜流量の増加によって,突入液面の下流側に形成される気体エントレインメント群の長さおよび気体エントレインメント流量ともに増大する. 2.気体エントレインメント群の長さおよび気体エントレインメント流量は,液膜の流入口から突入液面までの長さLによって影響され,Lが長くなるとどちらの値ともしだいに長くなるが,ある位置で極大値をとって減少し,さらに長くすると,再び長くなりはじめるという興味深い現象がみられた. 3.上記した興味深い現象は,流下液膜ホールドアップの流動軸方向における分布について調査した結果から,液膜の平均流下速度が増大することによる場合と波高が高くなった自然波による場合の異なった要因によって生じていることがわかった.
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