研究概要 |
1.再帰的最尤復号法(RMLD)において最終結果にほとんど影響しない計算を省略することにより、復号誤り率をそれほど悪化させることなく、復号複雑さを軽減するような準最尤復号アルゴリズムの開発を行った.計算機模擬によって提案アルゴリズムの誤り訂正能力と復号複雑さについて評価したところ,省略の度合いを制御するパラメータを選べば,再尤復号とほぼ同程度の誤り訂正能力をもち,かつ復号複雑さを1/4程度まで減少させることが可能であることが明らかとなった.また,パラメータの選択基準を得るため,RMLDの復号過程において最尤系列が統計的にどのような振舞いをするかを,計算機模擬によってデータを集積した.この結果に基いてパラメータを選択することにより,提案アルゴリズムの誤り訂正能力や復号複雑さを制御することができる(研究発表1,2). 2.元のRMLDと異なり,局所的な最尤系列の表を必要な所のみ構成するための方法論を確立し(研究発表3,4),元のRMLDが純粋にボトム・アップ方式であったのを,トップ・ダウン基本とする方式に再編成した.最尤復号にも適用を試みた所,計算機模擬により,復号複雑度が著しく低下することを示した(研究発表4). 3.局所的な最尤系列の表は,与えられた区間に関する剰余類について,各類中の最大メトリックスをもつ系列よりなる.それらの系列の中でメトリックスの大きい方から何番目までを作成しておけば十分であるかについて,1次的な情報は剰余類首の重み分布により与えられる.この重み分布(符合の復号に関する基本的な問題である)を求める新しいより効率的な方法を開発した(研究発表5). 4.再帰的な復号法について,受信系列のレベル数の選択が誤り制御特性と復号回路の複雑さに及ぼす影響について具体的かつ詳細に分析した(研究発表6).
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