研究課題/領域番号 |
10670299
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
免疫学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤本 真慈 京都大学, 再生医科学研究所, 助手 (60199370)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1998年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | マウスT細胞初期分化 / Wnt / Frizzled 3 / ドミナントネガティブフォーム / レトロウイルスベクター / シゲナル伝達 / シグナル伝達経路 / ドミナントネガティプフォーム / T前駆細胞 / 造血系前駆細胞 / TCF / LEF-1 / Frizzled3 / β カテニン / RT-PCR |
研究概要 |
本研究の目的は、マウスT細胞初期分化におけるWnt/β-カテニン/TCFシグナル伝達系の役割を調べることである。これまでに、1.Wnt蛋白の特異的レセプターで細胞表面に発現しているFrizzled(Fz)ファミリー分子の1つFz3が重要であることを初めて明らかにした。また、本研究遂行の過程で、2.マウス胎仔肝臓中の造血系前駆細胞に遺伝子を高い効率で導入し発現させる方法を確立した。 胎仔胸線で転写産物が多く、成獣胸線ではほとんど検出されない遺伝子をFzファミリーに関しRT-PCRで調べたところ、Fz3がそのような発現パターンを示した。胎仔胸線でのFz3発現レベルを詳細に解析すると、T細胞レセプター(TCR)β鎖遺伝子を再構成する直前の細胞群において一番高かった。Fz3のT細胞初期分化における役割を解明するために、Fz3の細胞表面ドメインのみを有するドミナントネガティブフォームを造血系前駆細胞に強制発現させ、T細胞に分化させる系で培養した。遺伝子導入には、GFPをマーカーとしてもつレトロウイルスベクターを用いた。その結果、ベクターだけを導入したコントロールと比較すると、培養後の細胞数は1/5から1/10に減少していた。細胞数の多いサンプルでは、大半がGFP^-であった。細胞数の少ないサンプルでは、GFPの発現にかかわらず、大部分がDN細胞で、コントロールでは分化が進んだ結果もはや存在していないCD44^-CD25^+細胞が多く残っていることが判明した。TCRを細胞表面に発現した後の分化段階ではFz3 mRNAが検出されないことと考えあわせると、Fz3を経由するシグナルはTCRβ鎖遺伝子の再構成に成功した後、α鎖遺伝子を再構成するまでのT前駆細胞の増殖に必須で、それとともにTCRβ鎖遺伝子再構成以前の増殖にも重要であることが強く示唆された。今後は、Fz3に結合するWntを特定するとともに、Fz3を介したシグナルによって発現調節される標的遺伝子の解析がT細胞初期分化の機構の解明に不可欠である。
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