研究概要 |
パーキンソン病の病因の解明のため、MPTP類似の内因性パーキンソン病誘導物質として1,2,3,4-tetrahydro soquinoline(TIQ),3,4,-dimethoxyphenylethylamine(DMPEA)等の黒質ドパミン神経細胞に対する神経毒性、ミトコンドリア障害に関し報告してきた。パーキンソン病の発症機序の解明として、MPTPによる細胞毒性のメカニズムについて解明することは、その治療法を検討する上でも重要である。 パーキンソン病におけるNF-kBの核内移行が報告されており、神経細胞死の関与が疑われている.今回,我々はMPP_+で処理したモデル系においてNF-kBを制御することにより,その細胞死のメカニズムを検討した.MPP_+投与によりNF-kB処理群は細胞死が増強した。我々の系ではNF-kBの核内移行は神経細胞死の制御系に働くと思われる. さらに、カスパーゼの系路をin vivoの系において検討した。カスパーゼ1とカスパーゼ11は、サイトカインを切る酵素で、近年この系の異常が細胞死に関与する可能性が指摘されている。我々はカスパーゼ11のノックアウトマウスを用いてMPTPの神経細胞死を防御する可能性につき検討した。MPTP投与による黒質TH陽性細胞数は、カスパーゼ11ノックアウトマウスでは、コントロールに比し有意に増加していた。カスパーゼ11が直接カスパーゼ3を活性化する経路も指摘されており、MPTPの細胞障害にも関与している可能性が示唆された。
|