研究課題/領域番号 |
10670925
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
中村 純 産業医科大学, 医学部, 教授 (40148804)
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研究分担者 |
大森 治 産業医科大学, 医学部, 講師 (70248558)
吉村 玲児 産業医科大学, 医学部, 講師 (90248568)
寺尾 岳 産業医科大学, 医学部, 助教授 (80217413)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | せん妄 / 評価尺度 / 血漿MHPG / ナチュラルキラー活性 |
研究概要 |
最近は高齢患者であっても全身麻酔下で手術を施行することが可能になってきたが、術後せん妄の発症も多い。先行研究の結果、およそ40%の手術後にせん妄が発症するとされる。これまでにも多くの研究があるがせん妄患者の発症要因として確定的なものは60歳以上の高齢男性に多いということだけで、その発症要因はいまだ明確ではない。まず、せん妄評価尺度の問題点を明らかにして、せん妄評価尺度では活動型せん妄しか評価できないことを明らかにした。さらに、アルコール離脱せん妄患者を対象に経時的にSPECT検査を施行したところ、せん妄発症時には血流低下を認める症例が多かった。また、せん妄の発症要因を検討する目的で心臓血管系の手術患者(26名)を対象にプロスペクティブな研究を施行した。せん妄の臨床評価にはTrazpeczら(1988)のせん妄評価尺度を用いた。その結果、11名にせん妄が発症し、15名にはせん妄は発症しなかった。せん妄発症群と非発症群の手術前日ノルアドレナリン代謝産物、血漿MHPG及びナチュラルキラー(NK)細胞活性値を比較検討したところ、不安の指標とされる血漿MHPG値はせん妄発症群で10.8±6.6ng/ml、非発症群では5.3±3.7ng/mlであった。すなわち、せん妄発症群と非発症群との間に有意差(P=0.026)を認めた。一方、NK活性値は、せん妄群では28±19%、非せん妄群では39±11%となり、せん妄群でやや低下していたが、非せん妄群との間に有意差は認めなかった。つまり、せん妄は術前に不安が高い人に発症しやすい可能性が示唆された。なお、経時的に検討した結果、せん妄を発症した患者でNK活性値がせん妄発症時に低値を示し、症状の改善と共に正常値に復する者があったが、症例が少なく統計学的検討はできなかった。また、血漿MHPGを含めた各種モノアミンの経時的変化については手術対象疾患が心血管系に限ったので、治療で用いられる薬剤の影響があるため検討しなかった。
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