研究課題/領域番号 |
10671063
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
代謝学
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
羽田 勝計 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (60164894)
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研究分担者 |
古家 大祐 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (70242980)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2000年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1999年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1998年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 糖尿病性腎症 / 糸球体高血圧 / 周期的伸展刺激 / 高糖濃度 / extracellular signal-regulated kinase(ERK) / TGF-β / fibronectin / cGMP / cAMP / メサンギウム細胞 / 細胞外基質 / MAP kinase / ブドウ糖過剰 |
研究概要 |
糖尿病状態において、メサンギウム細胞は、高血糖すなわち高濃度のブドウ糖に曝される(糖負荷)のみならず、糸球体高血圧に起因する圧負荷にも曝されていると考えられる。圧負荷は、メサンギウム細胞を周期的に伸展させ、細胞内に種々の異常を惹起し得ると推定される。従って、糖尿病におけるメサンギウム細胞異常を考える際、糖負荷のみならず圧負荷の影響を同時に解明することが極めて重要であると考えられる。そこで本研究では、糖負荷と圧負荷により惹起されるメサンギウム細胞異常の分子機構を解明することを目的とした。 メサンギウム細胞に圧負荷(周期的伸展刺激)を加えることにより、protein tyrosine kinase(PTK)依存性にextracellular signal-regulated kinase(ERK)が活性化され、このERK活性化がTGF-βおよびfibronectin(FN)の発現増加を来していることを明らかにした。糖負荷はprotein kinase C(PKC)依存性にERKを活性化することを既に報告しており、圧負荷と糖負荷はERK活性化の機構が異なると考えられた。その結果、ERK活性化、FN産生増加に関して糖負荷と圧負荷が相加的に作用していること、すなわち両負荷が同時に加わった場合にERK活性化、FN産生増加が最大になることを明らかにした。さらに、圧負荷によるメサンギウム細胞機能異常の是正方法に関し検討を加えた。その結果、細胞内cGMPあるいはcAMPを増加させる物質(薬剤)が周期的伸展刺激によるERK活性化、AP-1のDNA結合能亢進を抑制し、FN産生増加を阻止し得ることを明らかにした。以上の成績より、糖尿病性腎症の特徴であるメサンギウム細胞における細胞外基質蛋白産生増加にはERK活性化が重要であり、糖負荷と圧負荷の両者が異なる機構でERKを活性化していることが明らかになった。さらに、細胞内cGMPあるいはcAMPを増加させる物質(薬剤)が、圧負荷に起因するメサンギウム細胞機能異常を是正し得る可能性が示唆された。
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