研究概要 |
1.卵特異糖脂質EGL-IIの全化学構造を以下の様に明らかにした。 (1)アミノ酸アナライザーによるニンヒドリン陽性物質の定性、定量分析結果、2-AEPn:グルコサミンのモル比が3:1である。 (2)セラミド部分はパルミチン酸とステアリン酸と、anteisononadeca-4-sphingenineから成る。 (3)糖組成は、EGL-IIとHF(+)EGL-IIのメチルグリコシドの分析結果より、Glc/Gal/3-O-MeGal/GlcNAc(1/5/1/1)の8糖から成り、Glcと2モルのGalに2-AEPnがそれぞれ結合している事が明らかになった。 (4)NMR分析の結果、β-Glc,β-Gal,α-GlcNAc,α-3-O-MeGal,α-Galx4のanomeric protonが得られた。 (5)EGL-IIはFAB-MS,HF(+)EGL-IIはSIMS測定を行った。SIMSのフラグメントイオンからEGL-IIの糖配列は、Gal→(GlcNAc)(Gal)→(3-O-MeGal)(Gal)→(Gal)(Gal)→Glc→Cerである事が明らかになった。一方、EGL-IIのFAB-MS測定は(2-AEPn-Glc-Cer)^-と[(2-AEPn-Gal)(2-AEPn-Gal)-(2-AEPn-Glc)-Cer]^-のmolecular ion speciesをそれぞれ示した。 (6)メチル化分析を含めた全ての分析結果より、EGL-IIの全化学構造を決定した。 2.卵特異糖脂質糖鎖を認識する蛋白質、レクチンの同定は今後の課題として残った。
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