研究課題/領域番号 |
10760060
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用微生物学・応用生物化学
|
研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
伊藤 政博 東洋大学, 生命科学部, 講師 (80297738)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 1999
|
研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
|
配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
|
キーワード | 好アルカリ性細菌 / アルカリ性適応機構 / pHホメオスタシス / PHホメオスタシス |
研究概要 |
昨年度までにNa^+イオンの排出や細胞内pHホメオスタシスに関与する遺伝子群mrpオペロンを好アルカリ性Bacillus firmus OF4株からクローニングすることに成功した。本遺伝子群の全塩基配列は、GenBankに登録した(アクセス番号:AF097740)。本年度は、OF4株の全mrpオペロンを含む遺伝子断片をベクターpMW118に連結し、主要なNa^+/H^+アンチポーターを欠損している大腸菌Knabc株に形質転換し生理的機能解析を試みた。形質転換株は、Knabc株が生育できない0.2M-NaCl濃度以上の培地で良好に生育した。また、形質転換株から調製した反転膜小胞を用いた実験より、本遺伝子にコードされているタンパク質が、Na^+/H^+アンチポーター活性を持つことを明らかにした。遺伝子の一部をプラスミド上で欠失させるとNa^+/H^+アンチポーター活性が消失し、Knabs株の欠損を相補できなくなった。このことから、本遺伝子群のNa^+/H^+アンチポーター活性には、少なくとも7つすべての遺伝子産物が関与していることが明らかになった。しかし、7つの遺伝子産物すべてで大きな複合体を形成してNa^+/H^+アンチポーターとして機能しているのか、一部はシャペロンや複合体の安定性に関与するだけなのかは現在のところ不明である。今後、本遺伝子産物の精製を試みることによりこのことが明らかになることが期待される。別のアプローチとして相同的組み換え技術を用いて染色体上のmrpオペロンの欠失を試みた。しかし、この遺伝子群の欠失変異株を取得することは全く出来なかった。同様の実験を枯草菌で行った場合、欠失変異株が容易に取得できた。このことは、枯草菌が、Na^+とK^+どちらかのカチオンを用いて生育を維持できるのに対し、好アルカリ性細菌Bacillus firmus OF4株は、生育にNa^+を必須とし、おそらく菌のNa^+サイクルの主要な役割を果たしているため、mrpオペロンの欠損が菌にとって致死的な変異になるためと考えられた。
|