研究概要 |
目的:本実験の目的は、抗原ペプチドを用いた受動免疫による肺癌の治療モデルをヒト肺癌移植SCIDマウスにて作成することでことであるが、その予備実験として、in vivoにおいてMAGE-3ペプチドによるCTLの誘導を試みた。 実験:マウスはT,B,NK細胞の活性がないNOD-SCIDマウスを用いた。NOD-SCIDマウスの腹腔内にHLA-A2陽性健常人の末梢血リンパ球(4x10^7)を投与し、1日目、4日目にHLA-A2陽性拘束性のCTL epitopeを有するMAGE-3ペプチドをloadしたヒト樹状細胞(4x10^6)を腹腔内に投与し、腹腔内のリンパ球を採取し、HLA-A2陽性EBウイルス変異B細胞にMAGE-3ペプチドを提示させた標的細胞に対するCTL活性を^<51>Cr放出試験にて検討したところ、E/T比、40/1にてもCTL活性は認められなかった。 MAGE-3ペプチドではなく、インフルエンザペプチドを用いて同様の実験を行ったところ、インフルエンザペプチドに対するCTLは誘導できた。そのCTL活性は19%であった。このことより健常人の末梢血リンパ球内のMAGE-3に対するCTL precursorが少ないためと考えられる。今後、健常人ではなくMAGE-3陽性肺癌患者の末梢血リンパ球を用いるか、樹状細胞による刺激回数を増やすか検討中である。
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