研究課題/領域番号 |
10875113
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
都市計画・建築計画
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大窪 健之 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10252470)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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研究課題ステータス |
完了 (1999年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1998年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 都市基盤施設 / 清掃工場 / 建築デザイン / 設計主旨 / 都市計画 / 立地環境 / データベース / デザイン・データベース |
研究概要 |
平成11年度は、清掃工場の都市計画的な立地環境に関して、近年に設置された大規模施設を対象に全国的な実態調査を行った。さらに、平成10年度の研究で得られた、清掃工場の建築デザインに関する調査結果と併せて分析を行い、清掃工場の社会的位置づけに関する現状の問題点と今後のあり方について考察を行った。得られた成果の概要は以下の通り。 1.基礎資料の収集とデータベースの構築 調査対象とした、1985〜1996年に竣工した近年の大規模清掃工場122施設について、広報用資料(パンフレット)、施設の外観写真、主な設計図面、諸元(処理能力、建築規模、プラント形式など)、周辺を含む地図、地域地区区分、各種境界線等からの距離に関する情報を収集し、清掃工場の建築デザインと立地環境に関する基礎的なデータベースとして整理を行った。 2.建築デザインの設計主旨に関する傾向分析(平成10年度) 建築デザインの主旨について、設計者へのアンケート調査をもとに時間推移による傾向分析を行った結果、近年の建築デザインに対する考え方の潮流として、ごみ処理の問題、即ちごみそのものや従来の焼却処理施設が持つマイナスの印象を否定する方向性を基にしながら、廃棄物問題とは別の価値観を積極的に表現しようとする傾向が現れており、建築部分の役割が、炉の上屋としての機能的な役割だけでなく、近年では意匠的な表現の媒体へと変化しつつある実態を明らかにした。 3.都市計画的な立地環境に関する分析 清掃工場の立地環境について、地理的情報に基づく全国的な統計分析を行った結果、近年の施設は土地利用・地理的条件から見た「都市圏外」を、人口・社会的領域から見た「外縁部」を指向する傾向にあり、地域還元施設や他の迷惑施設との併置によって、迷惑意識の緩和を図るという傾向があることが明らかとなった。 4.研究の総括 考察によって、今後の課題として環境問題である廃棄物問題に対処するためには、建築デザイン・立地環境によって清掃工場の存在を隠蔽し、排出側である市民に対して「廃棄後」のことを極力意識させないようにしてきた従来の処理側の考え方を改め、市民各個人が日常的に問題を共有できるような建築デザイン・立地環境のあり方が求められることを示唆した。
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