配分額 *注記 |
49,500千円 (直接経費: 49,500千円)
2003年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
2002年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
2001年度: 9,400千円 (直接経費: 9,400千円)
2000年度: 9,600千円 (直接経費: 9,600千円)
1999年度: 10,500千円 (直接経費: 10,500千円)
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研究概要 |
トポIIβに依存して転写誘導を受けるRad GTPase遺伝子(Class I)を含め7つの遺伝子がコードされるゲノム領域(約150kb)について,顆粒細胞分化における遺伝子の発現動態,転写誘導のトポIIβ依存性,およびMARの位置を解析した.その結果,さらに3つのClass I遺伝子,2つのClass III遺伝子,1つのClass IV遺伝子の存在が明らかになった.遺伝子領域と一部の遺伝子間領域には分化依存的,トポIIβ依存的に核マトリックスへの付着が著しく高まる部位とDNase Iに対する感受性が高まる部位があることが分かった.これらの部位の位置関係は,トポIIβの作用から転写誘導に至るまでの過程を明らかにする上で重要である. 抗トポIIβ抗体で免疫沈降されるタンパク質をSDS-PAGEで分画しLC/MS/MSとIP/Western法で解析したところ,トポIIβと共沈するタンパク質のうち,SP120/SAF-A/hnRNP Uと同定されたタンパク質は主要なMAR結合タンパク質であり,トポIIβのMAR指向性を説明できる可能性が出てきた.核抽出液をショ糖密度勾配遠心にかけると,トポIIβは沈降速度が遅い二量体に相当する位置と大きな分子複合体が沈降する位置(約50S)に分かれて分画された.SP120の一部はこの複合体画分に一致した沈降パターンを示すことから,核内でもトポIIβとSP120がおそらく他のタンパク質と共に巨大な複合体として存在し,Class I遺伝子の転写誘導の過程に働く染色体機能装置を構成していることが示唆された. 顆粒細胞の分化過程では,形態的にもクロマチン構造の脱凝縮が観察されているが,ヘテロクロマチン領域に局在することが知られるヒストンH3のトリメチル化されたLys9に対する抗体と抗トポIIβ抗体の二重染色を行うと,ヘテロクロマチンの周辺部でトポIIβが集積した部位が観察された. 以上の結果は本研究の開始時に立てた作業仮説がほぼ正しかったことを示している.
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