配分額 *注記 |
12,100千円 (直接経費: 12,100千円)
2002年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2001年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2000年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1999年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
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研究概要 |
1997年12月に採択された京都議定書では,先進諸国や市場経済移行国に関して温暖化ガス排出量の削減目標が制定されるとともに,この目標を達成するための制度の一つとして,排出権取引が採用された.本研究では,温暖化ガス排出権取引制度をどのように設計すべきかに関して吟味した.排出権が競争均衡価格で取引がなされるならば,議定書の目的は最小のコストで効率的に達成できる.ところが,議定書には排出権取引は各国の国内削減に対し補完的であるべきであるとの条項があり,補完性は重要な問題の一つとなっている.この補完性に関するEUの具体的提案をゲーム理論の手法を用いて分析するとともに,補完性の一般理論を展開した.さらに,京都議定書の詳細を決定する交渉での,EU,アメリカ,日本の政治的・戦略的立場を分析した. これらの理論的分析をもとに,80を超える被験者を用いた排出権取引実験を実施した.特に,温室効果ガスの削減投資の非可逆性および投資のタイムラグが,排出権取引の効率性を達成するうえで,非常に重要な役割を果たしていることが判明した.投資が可逆的でかつタイムラグがないケースには,非常に高い経済効率性が達成でき,このことは取引方法や情報を開示するか否かに依存せずに成り立つ.しかしながら,削減投資の非可逆性とタイムラグを導入すると,成功ケースと失敗ケースの二つのパターンが観察された.これらの結果は,投資の不確実性がどのように市場の効率性を減少させるかを具体的に明らかにするものである.
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