研究分担者 |
井原 俊輔 名古屋大学, 情報文化学部, 教授 (00023200)
築地 立家 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 助手 (70291961)
安本 雅洋 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 教授 (10144114)
松原 洋 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 助教授 (30242788)
松本 裕行 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 教授 (00190538)
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配分額 *注記 |
10,500千円 (直接経費: 10,500千円)
2001年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2000年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1999年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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研究概要 |
量子Turing機械と量子回路の数学的基礎付けに関する次の研究成果を得た. 1.量子Turing機械の局所遷移関数の特微付けに関する問題を多テープの場合も含めて一般的に解決した. 2.一様量子回路族の概念を初めて巌密に定式化して,その計算量理論を構築し,それにもとづき,量子Turing機械と量子回路の二つの計算モデルのモンテカルロ型計算における同等性を証明した. 3.Deutschの提案したHalting protocolを精密化して,量子計算完了を確認するためのHalting flagの測定が状態を乱すにも関わらず,計算結果の確率分布を乱さないことを証明して,量子Turing機械の停止問題を解決した. 量子計算素子の物理的実現に関する次の研究成果を得た. 1.保存法則が基本量子論理素子を物理的に実現するにあたって障害になることが示された. 2.もし計算基底がスピンの成分で表現され,物理的実現が角運動量保存法則をみたすならば,制御否定素子を物理的実現可能なユニタリ作用素で制御否定素子を実行したり,誤り確率1/16以内で模倣することはできない. 3.この障害は量子論理素子が実行する論理演算に依存していて,たとえば,スワップ素子に対してはそのような障害は現れない. 4.一般には,サイズがn以下の物理的に実現可能な任意の量子論理素子は,誤り確率1/(4n^2)以内で制御否定論理素子を実行することはできない.ここで,サイズとは計算量子ビットと補助量子ビットの総計として定義される. 5.補助系がポゾンの場合にもサイズを平均光子数と定義すれば,同様の関係が成立する. 6.また,任意の万能纂子の組に対しても,その中に誤り確率O(n^<-2>)で模倣できない基本素子が含まれることを示すことができ,このことから,制御否定素子を含まない適切な万能素子の組を利用することによって,この障害を回避することはできないことが得られる. 7.誤り耐性量子計算理論より要請される基本素子の誤り確率10^<-5>満たすためには,制御否定素子は数学的には2量子ビット上のユニタリ変換であるが,実際には,最低100量子ビット程度のユニタリ変換としてしか実現できないことになる. 8.このような障害を回避するために,計算基底は加法的保存量と交換可能なものを選ぶ必要があることが結論され,このような新しい計算基底に関する誤り訂正理論の確立が求められる.
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