配分額 *注記 |
12,300千円 (直接経費: 12,300千円)
2001年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1999年度: 6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
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研究概要 |
合成反応を高度に制御し,新規の反応剤や触媒を設計するうえで高い機能と簡潔さ,普遍性を備えた化学の基礎理論が必須である。従来のフロンティア軌道理論においては分子全体に広がりをもつただ一つの分子軌道が利用される。必然的に、サイズの大きな分子では得られる情報に対する信頼性が著しく低下する。そこで本研究では,研究担当者が開発に取り組んできた相互作用軌道対の方法,射影反応軌道の方法を基礎として軌道相互作用理論の新たな枠組みを構築し,従来のフロンティア軌道理論に代わる新たな活性分子種の設計と反応制御のための方法論を提案した。有機化合物の多様な反応について反応の特徴を相互作用の領域に局在化した相互作用軌道対のひろがりや位相で捉えるとともに,酸・塩基の硬・軟を相互作用中心の局所的な電子供与能と受容能および化学的硬さによって理論的に定式化し,分子軌道計算により評価した。まず、アミノボラン類の酸・塩基性におよぼす置換基の効果、シクロプロペンと置換ブタンジエンとの付加環化反応におけるエンド選択性の要因を明らかにし,これまで選択性を制御するとされてきた副次的軌道相互作用の理論的根拠が薄弱であることを明らかにした。また,オキシランがアミンと反応する際にビフェニレンジオールが配位してオキシランを活性化する電子的機構を解明し,飽和分子におけるアノメリック効果についても詳細な解析を行うことにより,その効果を発現する軌道相互作用を明らかにした。一方,パラジウム錯体を用いるメチレンシクロプロパンのアルケンとの付加,ルテニウムおよび鉄ジヒドロ錯体の分子内転位反応など遷移金属の関わる反応について反応経路解析を行った。さらに,本研究で開発した理論的方法を用いて,金表面上でチオ-が単分子膜を形成する際のサイト選択性について解析を行った。水溶媒の効果について実験グループと共同して量子化学計算を実施した。
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