研究分担者 |
馬嶋 秀行 放射線医学総合研究所, 国際宇宙放射線医学研究センター, 研究員 (60165701)
明石 真言 放射線医学総合研究所, 放射線障害医療研究部, 研究員 (10670979)
谷下 一夫 慶応義塾大学, 理工学部, 教授 (10101776)
明石 真言 放射線医学総合研究所, 放射線障害医療研究部, 研究員 (10222514)
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研究概要 |
マウス線維肉腫NFSaに対するγ線照射を腫瘍結紮低酸素下で行うと,照射2日までに出現するアポトーシスは非結紮常酸素下照射より減少したが照射後3日以降に出現するアポトーシスは影響を受けなかった事から,照射後早期に起こる再酸素化と遅く起こる再酸素化は異なる機構によることが示唆された.炭素線はX線よりも顕著な酸素消費量低下をもたらした事から,酸素消費量低下が炭素線照射後の早期再酸素化を引き起こした可能性が示唆された.V79培養細胞の10%アポトーシス出現率で調べたところ,酸素効果比は,X線と110keV/μm炭素線ともに2.5であった.2-ニトロイミダゾール系低酸素細胞増感剤(PR-350)添加は低酸素細胞のX線誘発アポトーシスを増大したが,低酸素細胞の炭素線誘発アポトーシスには無効であった.コロニー形成法の10%生存率で調べた場合,酸素効果比はX線と炭素線でそれぞれ3.0と2.0であり,またPR-350の低酸素増感効果は何れの線質でも明らか(X線で1.5,炭素線で1.3)に認められた.放射線誘発アポトーシスは,増殖死に比して,酸素状態とLETに影響される程度が少ないことが分った.X線照射したヒト単球系白血病細胞株THP1では転写因子NFkBは活性化され、同時にIkBの減少とリン酸化が認められた.NFkBの活性化はTNF等によるapoptosisの阻害につながる事が報告されており,放射線はapoptosis,抗apoptosi両方の経路を同時に活性化することが示唆された.Manganese superoxide dismutase(MnSOD)遺伝子過剰発現卵巣がん由来の細胞は,ベクター導入細胞(対照細胞)に比し増殖が抑制され,更に放射線感受性が高まっていた.この感受性昂進は,SODの過剰発現によるH202の産生増加に伴うアポトーシスによることが判明した.
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