研究課題/領域番号 |
11554011
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
菅井 勲 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助手 (80150291)
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研究分担者 |
田辺 徹美 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (20013394)
川上 宏金 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (50013412)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
2000年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1999年度: 9,000千円 (直接経費: 9,000千円)
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キーワード | 炭素フォイル / ストリッパーフォイル / 加速器 / 放射線損傷 / ターゲットフォイル / 炭素ストリッパー / ターゲット膜 / 炭素ビルドアップ |
研究概要 |
本研究実現のために下記に述べる大雑把に3つに分けて研究開発を行い、目的を達成した。 1.1999年の初年度は炭素build-upとクラスターフォイルの寿命測定装置として、直径50cm、高さ55cmの観測用多窓付円筒型高真空チャンバー(〜10^<-8>Torr)を製作した。既存の1kWの他に出力の高い2kWの赤外線加熱装置、ならびに8組の炭素フォイル枠を取り付け用左右25cm移動できるトランスファロッドを高真空チャンバーに取り付けた。炭素フォイルへの赤外線ビームのアライメントトによる温度、駆動機構、真空等の全体の調整を行った。 2.1999年秋から2000年の夏にかけて、我々の開発した制御型AC-DC放電アーク法を改良して、極端にうすく(〜2μg/cm^2、〜100Å)かつ、長寿命用製膜法として、新しい制御型DC放電アーク法を開発した。この方法による炭素フォイルは電子顕微鏡によって50〜100nmの結晶構造からなることが判り、このフォイルをクラスターフォイルと名付けた。しかし、このフォイルはメカニカルに非常に脆いので、ビーム照射に対して蒸発しやすい〜5μg/cm^2のプラスチックで補強した。 3.2000年秋より、旧東大核研で完成した上記の高真空チャンバーとその真空排気系一式を東工大(理)の4.75MeV、バンデグラーフ加速器の0°コースに設置し、ビーム量とビームの一様性等の調整を行った。実験に使用するクラスターフォイルの膜厚は3.0±0.5μg/cm^2を用いた。膜厚モニターと寿命比較のために市販のアリゾナフォイル(1.5〜3.0μg/cm^2)を用いた。炭素フォイルの温度は高感度熱電対で測定し、2台の赤外線加熱装置を用いて100℃から100℃毎に最大700℃まで加熱した。測定はエネルギー3.2MeV、ビーム径3.5mmφ、電流1.5〜2.0μAのNe^+イオンビームを用いて一定の条件で行った。測定値の再現性を高めるため、測定点毎に3サンプル以上行った。 4.実験は、1)炭素build-up vs加熱温度、2)寿命vs加熱温度、1)と2)の結果より、3)build-up vs寿命の関係を知るテーマで行われた。その結果、1)炭素build-upの抑制は250±20℃で始まる臨界温度を見出した。2)炭素build-upが完全に制御される温度は450±20℃であることが高い再現性をもって見出した。この結果から、炭素build-upはストリッパーフォイルの本来の有する寿命に対してネガティプに作用する。従って、それを制御できれば寿命は伸びるという我々のアイデアは実証され、高い再現性をもって確認された。 本研究の成果として、build-up制御の成功に共なって、クラスターフォイルの寿命は市販のフォイルの平均10倍、最高15倍以上に長寿命化することが出来た。
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