研究分担者 |
日野 義之 千葉大学, 理学部, 教授 (70004405)
久我 健一 千葉大学, 理学部, 助教授 (30186374)
中山 裕道 広島大学, 総合科学部, 助教授 (30227970)
杉山 健一 千葉大学, 理学部, 助教授 (90206441)
高木 亮一 千葉大学, 理学部, 教授 (00015562)
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研究概要 |
本研究では3次元多様体上の微分可能な流れの測度論的かつ位相的な考察を行った.我々の研究は一般の群作用に関するZimmerの理論を流れの場合に具体的に解釈し直し,流れの位相力学的な性質の新しい側面を見い出すための基盤を確立したものといえる.具体的には次のような内容である.まず,与えられた流れをその法束の射影化である円周束の全空間に持ち上げる.持ち上げた流れに関する不変確率測度を分解することにより各ファイバーごとの測度の族を得る.我々はこれを不変ファイバー測度と名付けた.不変ファイバー測度は,元の3次元多様体の中で流れに沿って点が軌道上を進んで行くとき,それに伴ってまわりの景色が無限小レベルでどうひねられていくかを表すための枠組みと解釈でき,本研究において最も重要な概念である.不変ファイバー測度を用いれば極小流のような不変真部分集合を許容しない流れに対してもその内部構造に光をあてることが可能である.平成11年度には,不変ファイバー測度に関する幾つかの基礎定理を厳密に証明した.更に,具体的な方向としてルエル不変量を不変ファイバー測度の見地から考察することにより,その新しい表示公式を得た.平成12年度には,その表示公式の応用として,二次元円板の測度保存微分同相全体のなす群の構造を考察した.即ち,その群上で定義されたルエル写像をアメナブルな部分群に制限すれば必ず準同型になるという事実を証明した.これは我々の表示公式を用いることによりはじめて証明できる結果であり,我々の研究の有効性を示している.以上の結果は研究分担者中山の全面的協力の下に得られた.この成果は平成12年度ワルシャワで開催された葉層構造と力学系に関する国際会議において共同発表した.また,その詳細は共著論文としてまとめ,現在投稿中である.将来の方向としては,ルエル不変量の高次元シンプレクティック流れへの一般化に対しても同様の表示公式が成立するか否かについて現在検討中であり,本研究で得られた成果を更に発展させていきたい.
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