研究概要 |
新しい観点に立脚した連続反応プロセス"エーテル交換/分子内ヘテロDiels-Alder(以下D-Aと略す。)"による一般性の高い"選択的縮合複素環構築法の新方法論"を開拓した。さらに、ビスオキサゾリン誘導体を配位子とする金属錯体存在下、活性二座配位型不飽和エノンを用い、不飽和アルコールとの連続反応の不斉触媒化に成功した。 以下、その成果を述べる。 1)アルコキシ置換活性型不飽和カルボニル化合物(メトキシメチレンアセチルアセトン、ブトキシメチレンシアノアセトアルデヒド、(E)-4-メトキシ-2-オキソ-3-ブテン酸)は種々のδ,ε-不飽和アルコール(5-メチル-4-ヘキセン-1-オール、6-メチル-5-ヘプテン-2-オール、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-2-オール等)共存下加熱還流により、エーテル交換反応を経る分子内ヘテロD-A反応が立体選択的に進行し、対応するヒドロピラノピラン誘導体が高収率で得られることを明かにした、2)用いる不飽和アルコールの級数に関係なく進行する一般性の高い反応である、3)E-,Z-不飽和アルコール(E-,Z-4-メチル-3-ペンテン-1-オール)との反応の検討により立体特異的に進行することも明かとなった、4)触媒量のルイス酸により顕著な反応加速が認められた、5)共役付加・アルコール脱離を経るエーテル交換反応、それに続く分子内ヘテロD-A反応の多段階反応が単一容器内で行えることも特色の一つである。 さらに、キラルルイス酸触媒との錯体形成により効果的な不斉場の構築が期待できる二座配位型(E)-4-メトキシ-2-オキソ-3-ブテン酸と種々のδ,ε-不飽和アルコールとの連続反応が、ビスオキサゾリン誘導体を配位子とする金属錯体存在下、高エナンチオ選択的(97%ee以上)に進行することを明かにした。この反応は分子内ヘテロD-A反応の効率的不斉触媒化の最初の例である。
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