研究概要 |
本研究ではアルキル鎖を二本持つ金属錯体界面活性剤を新たに合成し,水/有機溶媒混合系での会合挙動を1H NMR自己拡散,蒸気圧降下,電気伝導度,イオンメーター,多核NMRなどによって調べた。ここで取り上げた金属錯体界面活性剤は,水/有機溶媒混合溶媒系で逆ミセルまたはマイクロエマルジョンを形成する傾向にあり,メゾスコピックレベル(数十ナノメーター)の微小水滴を形成する。3年にわたって,アルキルエチレンジアミン,アルキルアミノ酸,ならびにアルキルリン酸エステルを配位子として持つ亜鉛,パラジウム,銀,マグネシウムの金属錯体を合成・単離し,その水/有機溶媒混合系での会合挙動を上記の物理化学的な測定によって調べた。これらの錯体は,水/低誘電率有機溶媒混合系でかなり溶解度が高いことである。また,各種の金属イオンと対イオンとの組み合わせで,イオン間相互作用が溶解度ならびに会合挙動に大きく効いてくることを明らかにした。 更に配位子のアルキル鎖を系統的に変化させ,分子の親水性-疎水性バランス・分子の形状を変化させ,それによって会合挙動がいかに変化するかを明らかにした。 一方,パラジウムならびに銀のアルキルエチレンジアミン錯体からなる逆ミセル系について,微小水溶液内に金属が集積していることを利用して,これらの金属を還元して,金属ナノ粒子を生成させ,それらの形状ならびに粒子径分布と溶液構造との関係を明らかにした。
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