研究課題/領域番号 |
11670288
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大谷 清 東京医科歯科大学, 疾患遺伝子実験センター, 講師 (30201974)
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研究分担者 |
中村 正孝 東京医科歯科大学, 疾患遺伝子実験センター, 教授 (30180392)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1999年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | NF-κB / HTLV-I / gp34 / Tax / T細胞 / TPA / 細胞周期 |
研究概要 |
転写因子NF-κBは、免疫・炎症反応に重要な働きを演ずる。近年アポトーシスおよび細胞増殖の制御にもNF-κBが関わっていることが指摘されている。しかし、細胞増殖におけるNF-κBの役割には不明な点が多い。我々は、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-I)TaxによるT細胞活性化におけるNF-κBの役割を検討した。 gp34はTNFファミリーに属し、Taxにより転写レベルで発現誘導される。Taxはプロモーターに存在するNF-κB様配列を介してgp34遺伝子を活性化する。しかし、この配列は典型的なNF-κB結合配列とは異なりTPA単独では活性化されない。そこで、gp34のNF-κB様配列の活性化機構を、TPAを含めたT細胞活性化刺激とTaxと比較して解析した。ヒトT細胞株Jurkatにgp34遺伝子のNF-κB様配列をもつルシフェラーゼプラスミドをトランスフェクトし、培地中にTPAと様々な薬剤(イオノマイシン)または抗体(抗CD2抗体・抗CD3抗体・抗CD4抗体・抗CD28抗体)を加えて、TPA単独に比べてレポーター活性が増強されるかどうかを検討した。その結果、イオノマイシンと抗CD28抗体により、TPA単独に比べ約8倍および9倍に増強された。このことから、細胞内カルシウム濃度の上昇およびCD28に起因するシグナル伝達系がgp34遺伝子のNF-κB様配列を活性化できると考えられた。しかし、その程度はTaxによる活性化(約40倍)より遙かに低く、Taxはそれら以外の経路も活性化している可能性が示唆された。 一方我々は、Taxを発現するレコンビナントアデノウイルスとIL-2依存性ヒトT細胞株Kit225を用いて、Tax単独で休止期のヒトT細胞に細胞周期の進行を誘導出来ることを明らかにした。Taxは少なくともCREBおよびNF-κB,SRFを介して細胞側の遺伝子を活性化する。様々なTaxの変異体を用いてTaxによる細胞周期進行の誘導に関わる経路を検討した結果、NF-κBを活性化する能力が重要であった。しかし、NF-κBの過剰発現により細胞内のNF-κB活性を増強しても、細胞周期の進行は誘導されなかった。これらのことから、典型的なNF-κBの活性化のみではヒトT細胞の細胞周期進行に不十分であり、Taxは典型的なNF-κBの活性化に加えて未知の経路を介して細胞周期の進行を誘導していると考えられた。
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