研究概要 |
MRスペクトロスコピー(1H-Chemical shift imaging, CSI、7x7の49分割)による前立腺癌の症例における検討では放射線照射後は遊離型前立腺特異抗原値前立腺特異抗原値比の低下をみとめた。また、ブロトンMRスペクトロスコピーによる平均(コリン+クレアチン)/クエン酸比の変化は照射線量の増加とともに低下する傾向が認められコリン/クエン酸比も1に近づき、コリンが低下していることが確認できた。代謝パターンを(1)コリン優位パターン:>Peak level-Citrate(2.3-2.8PPm)、(2)コリン・クエン酸平衡パターン:>0.9x Peak level-Citrate、および(3)クエン酸優位パターン,<0.9x Peak level-Citrateに分類した。病理組織像の比較検討の結果、コリン・クエン酸平衡パターンを呈する癌は悪性度の低いものが多く、コリン優位パターンを呈する癌は悪性度の高い癌が多かった。また、悪性度の低い癌の一部は<0.9xPeak level-Citrateクエン酸優位パターンを呈するものもあった。コリン優位パターンの平均領域は放射線照射前1.86±1.18cm3であったが、照射終了後2週間後では0.85±0.72cm3,10週後では0.73±0.40cm3と有意に低下していた(P=0.03,P=0.01)。コリン優位パターンを呈する癌の放射線照射後の変化は約30Gyでコリン・クエン酸平衡パターンに、約70Gy照射後にはクエン酸優位パターンへの変化は癌細胞の消失、あるいは癌細胞が残存していても惑性度は低くなっていると考えられる.放射線照射後、コリン優位パターンあるいはコリン・クエン酸平衡パターンが残存することは、放射線抵抗性の癌であることが示唆される。コリン優位パターンを呈する癌の放射線照射後の変化は約30Gyでコリン・クエン酸平衡パターンに、約70Gy照射後にはクエン酸優位パターンへの変化は癌細胞の消失、あるいは癌細胞が残存していても悪性度は低くなっていると考えられる。放射線照射後、コリン優位パターンあるいはコリン・クエン酸平衡パターンが残存することは、放射線抵抗性の癌であることが示唆される。
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