研究課題/領域番号 |
11671015
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
木崎 昌弘 慶応義塾大学, 医学部, 講師 (20161432)
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研究分担者 |
池田 康夫 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (00110883)
福地 由美 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (40250237)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1999年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | ヒ素 / 白血病 / アポトーシス / 細胞分化 / レチノイン酸 / GM-CSF / SCID マウス / PML / RARα / 細胞周期 / SCIDマウス / Bcl-2 / Bax |
研究概要 |
ヒ素化合物は急性前骨髄球性白血病(APL)細胞のアポトーシス誘導を介して、実際にレチノイン酸耐性APLにも有効であることが知られ注目されているが、その分子作用機構については明らかでない。本研究においては、われわれが樹立したレチノイン酸耐性APL細胞株UF-1細胞およびヒトGM-CSFを産生するトランスジェニックSCIDマウスを用いたAPLマウスモデルを用いて、ヒ素化合物の作用機構をin vitroおよびin vivoにて解析するとともに、臨床応用を目指した新しいヒ素の投与法の開発に関する研究を施行した。ヒ素はレチノイン酸感受性APL細胞株NB4およびレチノイン酸耐性APL細胞株UF-1を細胞周期G1期に停止させ、アポトーシスを誘導した。ウエスタンブロットによる解析では、ヒ素はNB4細胞ではBcl-2の低下を、UF-1細胞ではBaxの発現上昇によりアポトーシスを誘導した。さらにAPLに特異的なPML/RARαキメラ蛋白は両細胞ともに濃度依存性に分解された。次いでヒ素のin vivoでの効果を検討するために、ヒトGM-CSF産生トランスジェニックSCIDマウスを用いての検討したところ、このマウスにおいてはAPL細胞の分化が誘導された。当該マウスでは血清中に高濃度のヒトGM-CSFが含まれるため、in vitroにおいてヒ素化合物とGM-CSFを併用したところNB4細胞、UF-1細胞ともに成熟顆粒球に分化誘導された。この両者の併用による分化誘導機構について検討したところGM-CSFはJak2キナーゼをリン酸化し、活性化することによりヒ素によるアポトーシスシグナルを阻止し、細胞分化を誘導することが明らかになった。これらの結果によりヒ素化合物の臨床応用に際しては、その毒性や発癌性を極力減じるためにも、GM-CSFの併用は効果的と考えられた。今後はこれまでの研究成果ふまえDNAチップ等の方法を用いてヒ素化合物の直接の標的遺伝子の単離、機能解析を継続していく予定である。
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