研究課題/領域番号 |
11740224
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性一般(含基礎論)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
押川 正毅 東京工業大学, 理工学研究科, 助教授 (50262043)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2000年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1999年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 強相関電子系 / Luttingerの定理 / トポロジカル量子化 / 近藤格子 / ボースアインシュタイン凝縮 / スピンギャップ / マグノン / 共形場理論 / 量子多体系 / 量子スピン系 / 磁場誘起ギャップ / トポロジー / ラッティンジャーの定理 |
研究概要 |
Luttingerの定理はFermi球の体積は相互作用によって補正をうけないというもので、Fermi液体論のもっとも基本的な定理の一つであるが、Luttingerの原証明は摂動展開に基づくもので、近年その有効範囲が再び議論されるようになった。例えば近藤格子では通常の摂動論の適用は困難であり、Fermi面の大きさが伝導電子の数で決まるのか、局在スピンも含めて決まるのかがそもそも明らかでない。数年前に、我々は一次元系に対してLieb-Schultz-Mattisの方法を応用し、Luttingerの定理のトポロジカルな証明を与えた。Lieb-Schultz-Mattisの議論は高次元へは直接適用できない。しかし、私は最近ゲージ不変性の議論と組み合わせることで、Lieb-Schultz-Mattisの議論を高次元に拡張した。そこで、これをLuttingerの定理の議論にも適用し、系がFermi液体であればFermi球の体積は相互作用によらず粒子数によって決まり、これは一種のトポロジカル量子化であることを示した。また、近藤格子については、局在スピンもFermi球に電子と同等の寄与をすることを示した。 最近、磁性体の強磁場中での実験が盛んに行われるようになってきた。相互作用と量子効果でスピンギャップが生じている系に磁場をかけた時の挙動を調べるために、東工大田中グループによってTlCuCl_3の強磁場中での磁化過程が研究された。その結果、有限温度でも磁場誘起長距離秩序に伴う相転移の存在が確認された。しかし、既存の理論とは定性的にも磁化のふるまいが異なることもわかった。そこで、私は二国らと協力して、この現象が磁性体中の磁気励起(マグノン)のボースアインシュタイン凝縮として記述できることを示し、実験結果を定性的に説明することができた。 この他、c=2共形場理論の非自明な境界条件を調べ、三角格子上の量子ブラウン運動への応用を議論した。
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