研究概要 |
本研究プロジェクトでは, 高性能・低消費電力な高性能演算"Green HPC (High Performance Computing)"の実現のため, CPU, GPU(グラフィック処理ユニット)そして"FPGAカスタムアクセラレータ"からなるヘテロジニアスな構成を想定し, それにユーザープログラムを自動マッピングするソフトウェア群の開発を目的である. 本年度では, 構築したGreen HPCプラットフォームの性能を以下の具体的なアプリケーションにより評価した. 雷磁界解析におけるFDTD (Finite-Difference Time-Domain)シミュレーション FDTDシミュレーションでは倍精度浮動小数点演算を使わなければならない場合が多く, 1つのデータを64ビットを使い表すためデータ量が大きくなりデータ転送はボトルネックになる. 本研究では, 高い演算精度が必要な電磁界の変動が激しい領域と低い演算精度でも十分な変動が少ない領域に分解した. それぞれの領域を順番に倍精度浮動小数点と32ビット固定小数点に分けて計算できる手法を提案した. 提案の浮動小数点・固定小数点ハイブリッド演算手法をFPGAで実装した結果GPUと同等な性能をその10%以下の消費電力で達成可能であることを発表した. ビッグデータを扱うDNA塩基配列位置推定処理 ゲノムを構成するDNA分子の塩基配列はA, T, C, Gの4種類の要素で構成されている. 塩基配列の要素が30億以上の膨大な数であり, そのデータアクセスがボトルネックになるため, 通常のCPUを接続したPCクラスターベースのスーパーコンピュータでの処理時間が数日~1週間程度かかる. 本研究では, ホスト側でデータを圧縮して転送を行い, FPGAの中でハードウェアによりワンステップで伸張できるような圧縮手法を提案した. 圧縮データアクセスとFPGA上にカスタムデータパスを設計することにより, CPUのランダムアクセス速度の20倍から50倍程度のメモリアクセス速度を達成した.
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