研究概要 |
本研究はS-アデノシルメチオニン(SAM)に応答して, シロイヌナズナのCGS1 mRNA上で起こる翻訳停止がmRNA分解を誘導する機構を明らかにすることを目的としている。この制御では, 翻訳停止したリボソームを認識してmRNA分解機構が働くと考えられるため, まずはじめに, 翻訳停止したリボソームの状態を明らかにすることを目指した。平成23と24年度はSAMによって翻訳停止したリボソームが抗生物質のピューロマイシンと反応しにくいことを明らかにした。平成25年度は, 翻訳停止したリボソームとピューロマイシンの反応性をさらに詳しく解析した。前年度よりもタイムポイントを増やし, 3秒~15分までに設けた17点を測定し, ピューロマイシン反応の速度を定量的に比較した。その結果, SAMによって翻訳停止したリボソームは転座前の状態で止まっていることが明らかになり, 先行研究を強く支持した。一方, SAMで翻訳停止したリボソームに追突した後続のリボソームのピューロマイシン反応は, 転座前と転座後の中間的な値を示した。この, 中間的なピューロマイシン反応速度から, 追突したリボソームの約6割が転座前, 約4割が転座後であることが明らかになった。以上の内容をまとめた学術論文は, Yui Yamashita et al., "Ribosomes in a Stacked Array"として, Journal of Biological Chemistry誌に採択され, 印刷中である。
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